誰が(まだ)世界の森林を所有しているのか?

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誰が世界の森林を所有しているか? Andy WhiteとAlejandra Martinは2002年に同名のレポートでこの疑問を提議して答えました。それによると、世界の森林の77%は政府・自治体が管理していました。地域コ ミュニティや先住民に所有され彼らの利用に供される森林が増えているのは良い傾向でした。

今年、William Sunderlinらはレポート「排除から所有へ?森林所有権改革の推進への問題点と機会」でその数値を更新しました。それは、コミュニティによる森林の コントロールの増加を期待していた者にとってはいささか残念なものでした。2002年の調査以来森林所有権に明らかな変化が起きたのは、熱帯の森林国30 カ国のうちのほんの僅かで、そのほとんどは中南米諸国でした。

ブラジル一国で世界全体の進歩のかなりの部分を占めています。この国ではコ ミュニティや先住民の利用に供されまたは所有される森林面積が56%増加 しました。ペルーとボリビアでも顕著な増加を記録しました。コロンビアでもまた僅かな増加を記録しました。アフリカでは、タンザニアとスーダン、カメルー ンでコミュニティの権利が僅かに増えました。しかしザンビアとコンゴ盆地諸国では変化はほとんどまったくありませんでした。アジアでは、インドではコミュ ニティや先住民の利用に供される森林面積が5百万ha増えました。インドネシアでは増加はありませんでした。

森林所有権改革が行われたい くつかの国々でも、権利が認められたからといってそれが即機能するとは保証されていません。例えばペルーでは、石油や天 然ガス、鉱物資源の探査地域として、政府がアマゾンの先住民の土地所有権を侵害して森林地域を指定しています。ブラジルでは、資源採取の許された自然保護 区(extractive reserve)へ伐採や牧場、採掘が違法に侵入するのを政府は防げていません。たとえ権利を承認しようとする意思はある場合でも、その手段があるとは限 らないのです。所有権改革が実際に機能するためには、コミュニティの権利を明確化し強制できる行政能力、専門知識、そして財源が必要なのです。

こ んな状況でも楽観的になれるのでしょうか?Sunderlinは「なれる」といっています。森林に対する先住権や慣習的権利、そしてコミュニティ の権利が認知されるのを促進させる法や政策の改正が、アンゴラからベネズエラまで、多くの国で行われました。最近のこのような動向は近い将来の所有権移譲 を促進させる足がかりとなりえます。さらに、「森林減少と森林劣化に由来する排出削減(REDD)」への関心の高まりは、森林関係の所有権を明確化へのさ らなる動機を与えるでしょう。

しかし、変化をさらに速め、より多くの国々へ広げなければ、世界全体で森林の所有権のバランスを政府から地 域住民へ移すのに何十年もかかってしまう でしょう。書類上で権利を移すだけでなく、その権利が現場で起きていることに対して本当に使えるようにするのも骨の折れる仕事です。そのためには、この権 利の潜在的な受益者や政府・自治体、そして国際社会の絶え間ない関わり合いが必要です。

 (日本語訳 鷹尾 元(CIFOR) g.takao@cgiar.org)

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Further reading

今回御紹介した文献は:

Sunderlin, William D.; Hatcher, Jeffrey and Liddle, Megan. 2008. From Exclusion to Ownership? Challenges and Opportunities in Advancing Forest Tenure Reform. Published by Rights and Resources Initiative. The book is available at: http://www.rightsandresources.org/documents/files/doc_736.pdf